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ついに始まった有機認証制度
青山浩子
昨年六月、JAS法改正によって成立した、有機農産物の認証制度。これからは、認証を受けないと「有機」という表示ができなくなった。制度が作られた理由は、ニセモノの有機を売場から排除するためだ。これまで、真剣に有機農業に取り組んできた生産者にとっては喜ばしいことだ。本格的な施行は今年の四月から。すでに一部の生産者は認証を取り始め、JASマークのついた商品もごくわずか店鋪に並ぶようになった。だが、認証制度に対する反応はいまひとつ。スーパーや卸業者は取り扱いに消極的で、当の有機農家も「いい制度とは思えない」という。
認証制度とは?
有機農産物の表示が、本格的に制度化されるのは今回が初めて。これまでにも「ガイドライン」といわれるものがあったが、指針に過ぎず、拘束力をもっていなかった。それが今回から、有機の栽培基準を満たした商品にだけ、「JASマーク」シールを貼ることができるようになった。認証を取っていないものを「有機」と表示すると、一〇〇万円以下の罰金が科される。 今回、決められた有機農産物の基準は「無農薬、無化学肥料栽培を、野菜やコメなら二年、果樹は三年以上続けた田畑でとれた農産物」。また、加工品や輸入農産物も表示の対象となる。 実は今回の有機認証は、国際的な流れに沿って制度化せざる得なかったという経緯がある。食品の国際基準を定めるコーデックス委員会が、九九年に有機の国際基準を決め、それで農水省が動いたのだ。栽培基準も、欧米の基準を参考にしたものだ。気候が乾燥している欧米では、さほど無理な基準ではないが、湿度の高い日本では厳しい。だから、法制化前から生産者の間では「完全に外圧。日本には向かない」「輸入農産物ばかりが市場に出回ることになる」などの声も出た。
手間とお金のかかる制度
「有機」表示をしたいという生産者は、農水省に認められた民間の認定機関の検査を受けなければならない。この検査にたいへんな手間がかかる。 まず、種や農業資材の入手先、防除方法など栽培に関する記録から、過去に農薬や化学肥料を使っていないことを証明するものまでさまざまな書類を認定機関に出す。書類審査にパスすると、検査員がほ場に来て実地審査がある。これに合格してようやく、「有機」と認められる。 手間だけでなく、費用もかかる。現在、農水省が認めた認証機関は、全国各地に約三〇団体(二〇〇一年三月の時点)ある。認証費用は団体によって異なり、ほ場一枚あたり二・五万円〜二〇万円程度と差がある。交通費など実費はさらに費用かさむ。 それだけではない。有機栽培のほ場は、慣行栽培のほ場から農薬などが入りこまないよう緩衝地帯を設けたり、防風ネットを設置しなければならない。コメの場合も、慣行栽培の水田の水が混入しないような措置をとらなければならず、費用は安くない。ちなみに、生産者だけでなく、有機農産物を取り扱う流通業者も、認証を取らなければならないことになっている。 さて、この認証制度に対し、有機を手がける生産者は流通業者の反応はどんなものか。一言でいうと、一部の生産者は積極的に取得しているが、流通業者は消極的なところが多く、費用負担が生産者に重くのしかかっている。
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